久々に日記DEお題!
ずっと前にアンケでチカナリという方針が決まりましたので、今更ですがチカナリでいってみます。
では下からずずいと。
「例の鬼がわざわざウチまで来て滂沱の涙流すのが正直ウザイ」
珍しく尋ねてきた政宗が開口一番にそう言った。
「…それが我と何の関係がある」
「あるさ。話す内容はAllお前」
惚気も他所でやれってんだと吐き捨ててぐいと茶を飲み干した政宗に元就は隠すことなくしかめっ面をして見せた。
「奴が我の事を貴様に何ぞ言うかは気にならぬが非常に腹立たしい。しかしそれは奴が勝手にやっているだけであって我が頼んだ訳でもない。よって、関係ない」
「…お前って前々から思ってたが生き難い野郎だな」
うえー、と渋面を浮かべて頬杖を付いた政宗ははぁ、と嘆息した。
「ンな嫌ならさっさと絶縁宣言でもしりゃいいだろうが。事あるごとにこっちに愚痴言いに来るから毎回の旅費に奴の家臣が泣いてたんだよ」
「…旅費?」
「Yes.お前と会った後は大概こっち来るぞ。見限るなら早いうちがいいぜ」
まぁできねぇだろうがな、と相手には聞こえないようにコソリと呟いて。
相変わらずの鉄面皮に不機嫌な様子が微かに加わったのを政宗は見逃さなかった。
「嫌ってるんならはっきりそう言ってやりゃいいんだよ。そうすりゃこっちも毎回愚痴聞かなくて済むし奴の家臣も不必要な旅費が減って喜ぶってモンだ」
トドメ、とばかりにまくし立てれば元就は不機嫌そうにふん、と鼻を鳴らした。
「嫌う手間すら惜しい」
呟いて、こちらを一睨み。
「それに貴様の言に従うのは癪に障る」
「あー、そ」
要は嫌ってはいない訳だ。
天邪鬼も此処まで来ると呆れる…っていうか、ウザイ。
「なら奴に言っとけよ」
もう関わるのが面倒だったので適当に答えて、茶請けの煎餅を噛み砕いた。
後日『元就がお前の所行くなって拗ねてた!!』と言うやたらとうざったい文が届き、その場で破り捨ててやった。
終
恋のエンジェル・伊達。(嫌)
久々にネタが降臨したのでデスノ見ながら書いてみる。(オイ)
因みに取り掛かりは21時ちょい前。さーて、どれだけかかるかしら…ウフフ。
ながら作業で失礼します!(オイ)
ではクリックでドゾー。
廊下を曲がったときに丁度向こうからやってきた義姫が気まずそうな顔をして視線を逸らし、逃げるように元来た道を引き返したからピンときた。
鍛錬場に向けていた足を返して、目的地を変える。
「ぼーんてん」
日当たりのよい子供部屋。
襖を開けた先には大きな瞳を濡らした息子がいた。
輝と梵
「ちちうえ…」
ぐすりと鼻を啜った息子、梵天丸の前にどかりと座り、ぐりぐりと頭を撫でた。
「また義さんにイジめられたか?」
「……」
無言の肯定。
輝宗は困ったように笑い、息を吐き出した。
「義さんだってな、悪気がある訳じゃねぇんだよ。ただ…なぁ、ホラ、あの性格だからさ。思わず思ってることと違うことをだなー…って、泣くなって、なぁ、ぼーんてーん?」
うりうりと溢れた涙を拭いてやって、ぽんぽんと背中を軽く叩いた。
「ったく、男が簡単に泣くんじゃねぇよ。男はなー、惚れた奴の前でしか泣かねぇモンだ」
「…でも父上は梵天の前でも泣いてる」
「……え」
ぼそりと呟かれた言葉に動きを止め、はてそんなことがあったかと思いを巡らせる…が、心当たりがない。
「梵天の前で母上にけられたりふまれたりなぐられたりして、泣いてる」
「いやー…うん。ありゃぁ俺様も教育上よくないとは思ってたが……いや、それはそれとして、あれはだな、梵。義さんの愛情表現の一種で俺はどっちかってーと嬉し…」
「…まぞひすと?」
「どこでそんな言葉覚えたの!!」
おとうさん許しませんよ!と叫んだ輝宗にびくりと肩を竦めた梵天丸。
慌ててご機嫌を取って、深々と嘆息した。
「…誰からそんな言葉教わったんだ、梵天?」
「つな。なぐられてよろこぶのはまぞひすとだって、言ってた」
――後でヤキ入れたる!!
表面では笑顔で息子に接しながら輝宗は内で綱元に大きく舌打ちした。
「――まぁとにかくだ。悲しくて泣くのは惚れた相手だけにしておけ。うれし泣きは…まぁ、臨機応変にだな」
「りん…?」
「あー、梵にはまだ難しいなー」
ごめんごめん、と頭を撫でれば気分を害したのか、ぷいと顔を背けてしまった。
気づけば涙もとうに引っ込んでいるようだ。
「父上はまぞひすと?」
「違う…と、思いたいな」
何が悲しいって、即答できない自分が悲しかった。
今度から子供の前での喧嘩は止めようと心に誓った。
終
輝パパは十分マゾです。(えー)
のどかな昼下がりの午後。義は自室にいた。
そして義の膝の上に頭を乗せ、一心に『論語』を読み耽っているのはつい最近婚姻した彼女の夫、伊達輝宗だ。
さらさらと風で葉が擦れ合う音や時折響く輝宗が本を捲る音以外に音を立てるものはなく、ゆるりとした空気がその場に漂っていた。
義は庭に向けていた視線を引き戻し、膝の上の輝宗に視線を落とした。
目筋の通った端整な顔。
その瞳を縁取る睫毛は長く、顔の輪郭もしゅっと締まっていて実年齢よりも若く見える。
雪国ならではの白い肌に艶やかな黒髪はさらさらとして手触りがいい。
……こう言う容姿を、美丈夫と言うのだろう。兄も幾分か整った顔はしていたが、父に似た所為か輝宗と比べれば足元にも及ばない。
「何か付いてるか?」
気付けば輝宗が『論語』を胸の上に置き、じっとこちらを見つめていた。
気を抜いていた為か驚き、なかなか言葉を紡げないでいるときょとんとしたように数度目を瞬かせた輝宗が満面の笑みを浮かべた。
「……義さん、見惚れた?」
「――ッ!」
思わず殴りたくなったが心底嬉しそうにしている輝宗を見ると、どうにもできない。
――情が湧いている…
義は焦りを覚えた。
伊達家に来たのは、この家を潰すためだ。
男子を産み、喜ぶ輝宗の不意を突いて命を奪い、生まれた子を盾として最上まで逃れる算段は此処へ嫁ぐ前から付いていた。
――情が湧いては、大事の時に要らぬ障害となる。
これ以上深入りしてはいけない。戒めるように、己にそう言い聞かせた。
「義さん?」
不思議そうに義を見上げてきた輝宗にはっと意識を引き戻し、咄嗟に頬に触れようとしていた手を跳ね退けた。
しまった、と思ったがやってしまったものはもうどうしようもない。
驚いて動きを止めたままの輝宗の髪を一房掬い、引き寄せた。
「……義さん?」
不思議そうな顔で見上げてくる輝宗に応えず、掬った髪を指先で弄んだ。
髷を結える程度に切り揃えられた髪はさらさらと手触りが良く、するりと指から零れ落ちる。
女子なら誰もが羨むこの髪も、輝宗には嬉しくないらしく、何時も髪を纏めるのに苦労していた。
「……髪」
「髪?」
「……延ばさないのですか輝宗殿?」
尋ねれば再びきょとんとした様子で目を瞬かせ、それからああ…と輝宗は己の前髪を指先で摘んだ。
「……延ばした方がいいのか?」
「妾は、そう思います。妾では到底適わぬ烏羽色じゃ。切るのは忍びない」
「そっか……俺は義さんの亜麻色も好きだけど」
それに紐が滑り落ちて結構大変だし、と唇を尖らせてから輝宗は義を見上げた。
「じゃあ義さんがそう言うなら、延ばそうかな?」
これでもか、と言う程の満面の笑顔。
素直すぎるその姿に乱世には向かぬと思った。それと同時に、何故か胸の辺できしりとした痛みが広がる。
「――綺麗」
湧いた感情を振り払うように再度髪に視線を落とし、暫らくずっと、その手触りの良い髪を梳いていた。
終
Marieさんに許可を頂いてMarieさん宅の義姫様とウチの輝パパです……!
一周年おめでとうございます~!こんなので申し訳ないですが、よかったらお納めくださいませ……!
しかもブログにupって……orz
山岡さんベースでいってみました。義姫様は梵天産んでからすぐにまた竺丸孕んで計画遂行できなかったのですよ。情にほだされちゃったからね☆
夕日に染まる神社に人の影はなかった。
「小十郎」
綱元と東西に分かれ、捜すが返事は帰ってこない。
縁の下や、それに準じた隠れやすい所にいるはずだ、と言う喜多の言に縁の下を覗き込むがそれらしき姿はない。
「……何処だ」
「あまり離れた所には居ないと思うのですが……」
喜多とそう喋りながら場所を変えては縁の下を覗くがその姿は見当たらない。
――ふと、小さな鳴き声が耳に届いた。
誘われるように鳴き声の方――神社の境内から最も離れた敷地内に近づいた。
「――小十郎」
茂みを掻き分け、見た先には木の幹に持たれ掛かりながら浅く呼吸を繰り返す小さな獣。
駆け寄って抱き上げるとぐったりとしていて、軽く焦った。
「神社の敷地内から出れば大分楽になるはずですよ」
袖から響いてきた喜多の言葉に頷き、木の柵を乗り越えて敷地内から飛び出した。
途端、腕の中の小十郎がほぅ、と息を吐いた。
「綱元を呼んできますので暫らく此処に」
そう言った喜多は政宗の袖から出ると柵の間を擦り抜け、来た道を駆け足で戻っていった。
そして残されたのは、一人と一匹。――いや、妖怪二つ。
「小十郎?」
腕の中の小十郎を覗き込めばまだ怠そうな様子で耳をぺたんと垂れ下げていた。
「辛いか?」
尋ねれば漸く顔を上げ、政宗を見た。
状況が飲み込めていないのか、ぱしぱしと瞬きを繰り返し、すんすんと鼻をならした。
「覚えているか?」
首を擽ってやればごろごろと咽を鳴らし、ぴこんと垂れていた耳が立った。
――どうやら、印象は悪くなかったらしい。
「とー」
「――っ?!」
不意に響いた、舌っ足らずな声。
それは、紛れもなく腕の中の小十郎から紡がれたものだった。
「こ――」
「とー、と?」
ぱたぱたと尻尾を振り、幼い声で言う小十郎。可愛くない筈がないだろう。
「……ッツ!!小十郎が喋った!」
「しー?」
「喋った!」
「……ぺた?」
嗚呼、自分なんて馬鹿なんだろうと思いながら。
喜多が綱元を連れてくるまで、その場でずっと小十郎に言葉を復唱させては楽しんでいた。
続
会いました。片倉さん、ずっと寝てたのでカタコトしか話せません。
「ク●ラが立った!」的なノリで殿の台詞を読んであげてください。(えー)